社外取締役と機関投資家との対話
社外取締役と機関投資家との対話
投資家の皆さまとの建設的な対話を通じて、
持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。
Daigasグループでは、ガバナンス強化の一環として、社外取締役と投資家との対話機会を設けています。2026年3月には、社外取締役3名と機関投資家の皆さまが、成長戦略や資本効率、インフラ企業としての役割など、多岐にわたるテーマについて率直に議論を交わしました。
村尾 和俊
取締役(社外)
2019年から当社の社外取締役に就任。
● 指名に関する諮問委員会 委員長
● 主な専門分野: 企業経営、
組織運営、リスクマネジメント 等
佐藤 友美子
取締役(社外)
2021年から当社の社外取締役に就任。
● 報酬に関する諮問委員会 委員長
● 主な専門分野: 生活、文化等の
サステナビリティ領域
南 知惠子
監査等委員である取締役(社外)
2023年に当社の社外監査役を務めたのち、2024年からは監査等委員である取締役に
就任。
● 主な専門分野: マーケティング、DX、企業経営、組織運営 等
社外取締役としての視点
公益性と成長の両立や多様性の推進など、
社外の多様な知見を活かして経営を支えています。
Q. ご自身の知見・経験を、Daigasグループの経営にどのように活かしていますか。
村尾私は長年にわたり、通信事業など公益性の高い分野の経営に携わってきた経験から、「経営のバランス」をいかに確保するかを基本的な視点としています。人々の生活基盤を支える公益事業としての使命を果たすことと、企業の持続的成長の実現。この両立に向けて、Daigasグループが中長期的な視点に立った戦略を着実に推進できているかを重視し、社外の目で監督にあたっています。
佐藤民間企業の研究所で長く生活文化の研究に従事し、また国の審議会や地方自治体の委員として、時代のトレンドを見てきました。社外取締役として外部の立場だからこそ、既存の枠組みにとらわれない提案を心掛けています。
また、女性活躍をリードする会社になってほしいという思いから、従業員との積極的な対話を行っています。Daigasグループには優秀な人材が多く在籍していますが、多様な価値観が存在することは企業の意思決定や成長にとって有益であると考えており、この取り組みは、私の重要なミッションの一つだと捉えています。
南 監査等委員である社外取締役を務めるなかで、私が重視しているのは独立性をもってリスクを網羅的に見るということです。また、監査機能を担う社外役員には、法務や会計の専門家が就任するケースが多いのですが、私は経営学・マーケティングを専門としています。企業価値の向上に向けて、「Daigasグループが保有する強みが十分に発揮され、経営に活かされているか」という観点を大切にしています。
事業ポートフォリオの最適化
複数シナリオを想定した柔軟な意思決定と、
機動的なポートフォリオの最適化が重要です。
Q. 社会全体の不確実性が増すなか、事業戦略に対してどのような助言を行っていますか。
村尾現在の不透明な事業環境をどう乗り越えるかは、たしかに非常に難しい経営課題です。Daigasグループも、持続的な成長に向けて、中長期的なシナリオを議論しながら、戦略を決定していますが、このように不確実性が高い局面では、単一の前提に依拠するのではなく、複数のシナリオを想定し、対応すべきと考えています。状況に応じてシナリオを柔軟に見直していく弾力性が重要であり、執行側もその点は強く意識しています。また、過去の経験や課題を整理し、それを踏まえて対応策を検討している点も評価しており、私たち社外取締役としてもその議論を支えていきます。
Q. 事業ポートフォリオの最適化について、どのような点を重視していますか。
南 米国事業では、収益性が見込みづらい発電所の売却を順次進めるなど、アセットライトな経営に向けた既存事業の見直しを常に行っており、順調に進んでいると考えています。
村尾今のDaigasグループの事業ポートフォリオは、国内におけるガス事業を起点に、電力、海外、不動産などの事業がバランスよく配置されていると考えています。また、毎年、中長期的な成長につながるポートフォリオのあり方について評価・点検を行っており、取締役会としても踏み込んだ議論を重ねています。
佐藤様々な議論・検討が行われている一方で、個々の事業の継続判断については、撤退を決めるのにやや時間を要する場面もあるように感じています。ボトムアップで事業を立ち上げることの多いDaigasグループですが、撤退の局面ではトップダウンでの判断が必要なことも多く、そのバランスをどのように取っていくかは、重要な論点です。他社ではトップダウンでより迅速に撤退判断を行うケースも見られますので、機動性のあり方も含め、ポートフォリオの検討において意識しておくべき点だと考えています。
次なる成長に向けて
国内基盤を原点としつつ、適切なリスク管理に基づく
海外事業での新たな顧客獲得は不可欠な戦略です。
Q. 事業ポートフォリオを議論するうえで「顧客」をどのように定義していますか。従来のような関西圏の家庭・事業主から、日本全国へ、あるいはグローバルへと、想定する顧客像に変化はあるのでしょうか。
村尾事業領域が大きく変化するなかで、関西のガス事業から国内のガス・電力事業へ、さらに米国、そしてインドを中心とした海外でのガス・電力事業と、お客さまの範囲は着実に広がっています。
先日、インドの都市ガス事業を視察した際にも、その変化を強く感じました。様々なグローバルIT企業がデータセンターの開発を進めており、同時に、クリーンなエネルギーに対する需要が拡大していました。つまり、当社グループの海外展開においては、こうした「環境価値を重視するグローバル企業」という、従来のエネルギー構成とは異なる新たな顧客層の開拓が進んでいます。
ガス・電力・不動産といった事業の広がりに伴い、お客さまの層も大きく拡大しています。加えて、近年はソリューションという形で、高効率なエネルギー利用を顧客に提案する取り組みも進んでおり、20年前と比べても事業の姿は大きく変化しています。
南 事業ごとに顧客は異なるという前提で捉えるべきではありますが、以前、社長が「ガスのお客さまが1丁目1番地である」と語っていたように、グループの原点を大切にしている姿勢も感じています。一方で、人口動態を見据えると国内需要の伸びには限界があります。企業として成長していくためには、国内のお客さまを基盤としつつ、海外展開によって新たな顧客を獲得していくことは避けて通れない戦略であると考えています。
Q. 近年、海外事業の比率が高まっていくなかで、海外展開におけるリスクをどのように捉えていますか。
南 米国の上流事業や、フリーポート液化基地が着実に成長しており、グループの収益基盤として頼れる存在になってきていますが、どこまでリスクテイクをするかは常に重要な論点です。Daigasグループは、中期経営計画2026期間で累計5,600億円の成長投資を進めていますが、海外事業への投資は、コンソーシアムへの参画なども通じてリスク分散を図るなど、適切にリスクをコントロールしながら成長投資を行う、バランスの取れた姿勢が表れていると考えます。
また、国内には、比較的ボラティリティの低いLBSを有していることもあり、グループ全体として海外事業に挑戦しやすい構造になっている点は強みだと感じています。マーケティングの観点からも、エネルギー企業として上流権益を押さえることは重要であり、投資規模は大きくなりますが、戦略的に重要な関与であると考えています。
資本効率の向上に向けて
収益性向上と公益性確保については議論を重ねつつ、
成長投資と株主還元の適切な両立を重視し、ROEの着実な向上を監督しています。
Q. Daigasグループの資本・財務戦略は、株式市場から高く評価されています。ROE8%を目標とした資本効率の向上やDOE の引き上げ、2030年代早期にROE10%を目指す姿勢など、同業他社と比べても一歩先を行く印象です。
こうした資本戦略に対し、社外取締役としてどのように関与・監督されていますか。
南 自己株式の取得については様々な見方があるものの、その効果と意義を踏まえて賛同してきました。資本効率は上場企業として避けて通れない課題であり、Daigasグループとして資本効率の向上に取り組む方針を明確にしている以上、その方向性に沿って着実に改善を図っていくことが重要です。
村尾重要なのは、株主還元と成長投資の双方を適切に両立させることです。私は、ROE8%や10%といった議論においては、前提として「成長投資がどの程度行われているのか、具体的な数値で示されているか」を確認することを重視しています。実際に、現在の中期経営計画では、前計画と比較して成長投資が大きく拡大するとともに、株主還元も強化されています。こうした点を踏まえると、現在のDaigasグループは、成長と還元の双方を意識したバランスの取れた経営が進められていると評価しています。
Q. 特に海外投資家は、国内エネルギー事業のROIC改善について高い関心を寄せていますが、インフラ企業として、収益性の向上と公益性の確保のバランスをどのように考えていますか。
南 国内エネルギー事業は海外エネルギー事業と比べて資産規模が大きいため、投資効率が相対的に低く見えがちであるという投資家からのご指摘は十分理解しています。一方で、社会にガスや電力を安定的に供給するという使命を踏まえると、収益性だけで単純に評価できない側面があるのも事実です。もちろん非効率を放置してよいというわけではありませんが、現実としては一足飛びに改善できるものでもありません。
自己資本についても、エネルギー供給や災害対応といった観点から一定の厚みを持たせたいという考えは根強く、最適な水準については継続的な議論が必要です。こうした課題については、社外役員ミーティングや経営諮問委員会の場などを通じて率直に意見を述べており、資本市場との関係を意識しながら議論を重ねています。
村尾そうした課題に対し、今後は必要に応じて外部資金の活用や資本構成の見直しといった選択肢も検討していく余地があると考えています。また、インフラの維持・更新は一企業だけで完結する問題ではなく、PPP(官民連携)の活用など、外部との連携も含めた創意工夫が重要になります。実際、通信分野ではユニバーサルサービスの仕組みが導入されるなど、社会全体でインフラを支える枠組みが構築されています。エネルギー分野においても、こうした視点での議論を深めていく必要があります。インフラの老朽化対応は、日本の経済基盤を維持するうえで避けて通れない課題であり、引き続き強い問題意識を持って取り組んでいきたいです。
サステナビリティの推進
中長期的なカーボンニュートラルの方向性を見据え、
地球全体での排出削減への貢献を重視して取り組みを継続していく姿勢が重要です。
Q. サステナビリティの取り組みについては、社外取締役としてどのような観点で議論を促し、実効性を担保していますか。
村尾足元では様々なトレンドの変化もありますが、中長期的に見ればカーボンニュートラルは地球規模で取り組むべき不可避の課題であり、Daigasグループはその方向性をしっかり見据えて経営を行っていると感じています。具体的な時期や進め方については、技術の進展や国際的なルールの動向などにより一定の幅はあり得るものの、基本的な方向性は変わらないものと考えます。
また、その観点から見れば、Daigasグループの取り組みは、個社の排出量だけでなく、地球全体としてどれだけ排出削減に貢献しているかという点で評価されるべきだと考えます。高効率なエネルギーを提供することで顧客の利用が拡大し、結果として排出量が増加して見える場合であっても、全体での削減効果を踏まえる必要があります。この観点については、国際的なルール形成のなかでも引き続き主張していくことが重要であり、Daigasグループはぶれることなく進んでいると認識しています。
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