気候変動への取り組み
‐リスクと機会の認識と対応‐
- 特定したマテリアリティ
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エネルギー
302-1
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大気への排出
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取り組みの背景・考え方
地球規模の気候変動への対応は「持続可能な開発目標(SDGs)」の一つに位置づけられ、2016年11月発効のパリ協定以降、世界中で取り組みが進んでいます。日本においても、2020年10月に2050年カーボンニュートラルが宣言され、気候変動への対応が一層重要となっています。
また、エネルギービジネスを中心に事業を展開するDaigasグループにとって、気候変動は経営の重要課題の一つであり、CO2排出削減の取り組みは極めて重要な使命です。2021年1月には、当社グループとして「Daigasグループ カーボンニュートラルビジョン」の策定・公表を行い、2050年に向けカーボンニュートラルに挑戦する姿勢を示しました。
同年3月には「Daigasグループ中期経営計画2023『Creating Value for a Sustainable Future 』」を発表し、低・脱炭素化をさらに推進します。
「Daigasグループ カーボンニュートラルビジョン」について詳しくはプレスリリースをご覧ください
「Daigasグループ 中期経営計画2023『Creating Value for a Sustainable Future 』」について詳しくはこちらをご覧ください
2017年6月に発表された「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」による提言(以下、TCFD提言)は、投資家に適切な投資判断を促すために、企業に対して気候関連の財務情報開示を奨励しています。 大阪ガスはTCFD提言に賛同するとともに、TCFD提言を気候変動への対応を検証する指標として活用していきます。 また、当社はTCFD提言に即した気候変動対応の情報開示に向けた取り組みを議論するTCFDコンソーシアム※に参加しています。
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※ TCFDコンソーシアム
2019年5月27日に設立され、気候変動対応の企業の効果的な情報開示や、開示された情報を金融機関等の適切な投資判断につなげるための方策などが民間主導で議論されています。経産省、金融庁、環境省がオブザーバーとして参加しています
気候変動に関するガバナンス
Daigasグループでは、気候変動対応を経営の最重要課題の一つであると認識しています。当社グループ全体の重要事業活動を意思決定、監督する取締役会において、気候変動問題を含む案件について意思決定、監督しています。年3回開催する「ESG推進会議(経営会議)」では、役員が気候変動問題を含むESG課題に関する活動計画および活動報告を審議し、社長に上申、報告を行います。
また、当社グループのサステナビリティ活動を統括する役員「ESG推進統括」(副社長)を委員長とし、関連組織長等を委員とする「ESG推進委員会」を設置しています。「ESG推進委員会」は年4回開催し、気候変動対応にかかわる事業活動の計画の策定・推進、目標達成状況、リスクの管理と対応等について組織横断的に審議・調整・監督し、そのうち、サステナビリティに関するESG経営の施策目標に対する実績状況や、気候変動による財務影響が大きいと想定される事業計画などの重要事項を取締役会に付議・報告しています。
取締役の報酬は、グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現に対する取締役の意欲を高める報酬体系とし、社外取締役以外の取締役の報酬は、固定報酬としての基本報酬、業績連動報酬および株式報酬で構成しています。
業績連動報酬は、短期および中長期的な企業価値向上に資することを目的として、直近3カ年の親会社株主に帰属する当期純利益(連結当期純利益)と前年度のESG指標達成度係数※を主な指標として決定します。
株式報酬は、中長期的な企業価値向上と報酬の連動性を高め、株主との一層の価値共有も進めることを目的として、譲渡制限付株式を、毎年、一定の時期に付与します。
- ※ ESG指標には気候変動関連指標を含みます
■ 気候変動に関するガバナンス体制
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・取締役会
取締役10人
(社内取締役6人、社外取締役4人) -
・経営会議(ESG推進会議)
社長執行役員1人、副社長執行役員3人、
常務執行役員7人
※ 原則年3回を「ESG推進会議」として開催 -
・ESG推進委員会
副社長執行役員(ESG推進統括)、関係組織長等
(2022年6月28日時点)
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・取締役会
戦略
気候変動による主要なリスク・機会と、それらが事業や財務に及ぼす影響ならびにそれらへのDaigasグループの対応等について以下に示します。
シナリオ分析
当社グループは、気候変動が中長期的に当社グループの事業に及ぼす影響を把握し、対応策を検討・準備するための材料として活用することを目的とした気候変動に関するシナリオ分析に取り組みました。シナリオ分析には、外部機関(IEA)が公表しているシナリオを用いました。(下図参照)
当社グループの事業のうち、気候変動による影響が大きいと想定されるエネルギー事業(国内・海外のガス・電力事業等)を対象とし、省エネルギーの進展度合いや電源構成の推移等も考慮した複線的なシナリオを想定し、分析を行いました。
シナリオ分析によって得られた示唆を中長期的な事業戦略の検討に生かしながら、当社事業のレジリエンスを高めるための取り組みを着実に実施していきます。また、今後の世界的な気候変動対応の進展により、シナリオの前提条件が変化していく可能性があります。外部機関のシナリオを参考にしつつ、必要に応じて最新版への更新を行いながら、引き続きシナリオ分析を深めていきます。
■ 世界の最終エネルギー消費量とCO2排出量の推移※

リスク・機会の認識
複線的なシナリオ分析のもと、当社グループの国内外のエネルギー事業を取り巻く環境を踏まえて、想定しうるリスクと機会を洗い出し、2030年に向けた短中期と2050年に向けた長期に分けて評価し、対応策を検討しました。
当社グループは、天然ガスを主要な原料・燃料として日本の関西エリアを中心にガス・電力事業を営んでおり、気候変動に伴うさまざまな外部環境の変化について、その要因を「移行リスク」と「物理的リスク」に分類のうえ、重要なリスクと機会を特定しています。当社グループにおける気候変動に関する大きなリスクとして、海面上昇や局地的な異常気象の発生等による台風や大雨などの自然災害は、製造・供給設備などに損害をもたらす可能性があります。また今後、国内での炭素税導入や税率の大幅な引き上げが行われた場合や、顧客の非化石燃料への転向意向が高まれば、事業へ影響を与える可能性があります。一方で、再生可能エネルギーや脱炭素技術の開発・普及を促進すれば、当社グループにとって大きな機会になる可能性があります。
■ リスクと機会の評価

■ リスクと機会に対する戦略・対応策
当社グループは、特定したリスク・機会へ適切に対応するために、多様な事業によるポートフォリオ経営を推進していくことで、持続的成長を図ります。

■ 気候変動に伴うリスク・機会の財務的影響
当社グループは、中期経営計画において「低・脱炭素社会の実現」を重点取り組みとして設定し、2021年から2023年において、2050年カーボンニュートラル実現に向けた脱炭素関連投資額として、1,500億円を見込んでいます。
また、当社グループは、再生可能エネルギーの普及貢献に積極的に取り組んでおり、2030年度の再生可能エネルギー事業の拡大による売上影響額として、1,000億円規模と試算しました。
なお、上記の財務的影響試算は、不確実な要素・仮定を含んでおり、実際には、重要な要素の変動により、大きく異なる可能性があります。
■ 温室効果ガス削減の取り組み
当社グループにとって、温室効果ガス排出削減の取り組みは極めて重要な使命であり、自らの事業活動はもとより、エネルギーをご利用いただくお客さま先でのCO2排出削減にも注力しています。当社グループの具体的な温室効果ガス削減の取り組みについて詳しくは以下をご覧ください。
これらの事業活動を一層進めるべく、「Daigasグループ カーボンニュートラルビジョン」では、2030年度に年間約1,000万トンのCO2排出削減貢献を目指すことを経営目標の一つに掲げています。この指標は社会全体での削減に貢献できることから、当社グループの事業活動の取り組みとリンクする形で目標化してマネジメントに用いています。
■ 脱炭素社会に向けたレジリエンスの取り組み
気候変動による社会全体の大きな課題の一つに、社会基盤であるエネルギーの安定確保があります。当社グループは、脱炭素社会に向けて、安定供給・レジリエンスの面でも社会へ貢献し続けるために、脱炭素技術を活用したガスや電気といった複数のクリーンなエネルギーと災害対応機器やエネルギーの面的・高度利用といった様々なサービスを引き続き提供していきたいと考えています。
当社グループは、事業成長と社会基盤の安定の両立を目指し、世界的に気運が高まる脱炭素への対応として、社会全体のCO2排出削減貢献活動、ガスの高度利用の促進、脱炭素化技術の開発の取り組みを進めます。
■ 移行計画イメージ

リスクの管理
リスクの管理
Daigasグループの事業計画や投資計画の意思決定の際には、ガスおよび電力事業をはじめ各事業の担当組織が各事業に及ぼすリスク要因や影響度を分析し、リスクを抽出・識別したうえで、その他の事業リスク等と合わせて経営会議の審議を受けます。策定された計画における気候変動リスクは、環境部会、ESG推進委員会、ESG推進会議(経営会議)で報告・フォローを行い、PDCAサイクルにより管理しています。
また、取締役会や経営会議において、気候関連のリスクや持続可能性について投資判断を含む意思決定を行っています。2022年3月末までに気候変動関連で付議・報告した案件には以下があります。
- ・カーボンニュートラルビジョンに基づいた技術開発と脱炭素社会に向けた取り組み状況等のフォロー
- ・シナリオ分析による気候変動関連リスク・機会と対応策の認識と開示
- ・気候変動対応を管理する指標の実績フォロー など
■ 気候関連リスク管理体制

指標・目標
脱炭素社会の実現に向けて、省エネや天然ガスの高度利用、再生可能エネルギーの普及などによる徹底したCO2排出削減貢献を進めます。

- Daigasグループの
サステナビリティ -
トップコミットメント
サステナビリティへの取り組み
活動トピックスと指標に
対する実績 トランジション
ファイナンス- Daigasグループの価値観と
サステナビリティ推進体制 -
Daigasグループの理念体系
Daigasグループ企業行動憲章と
マネジメント方針 Daigasグループ企業行動基準 サステナビリティ推進体制と
マネジメント ステークホルダー
エンゲージメント 参加イニシアチブ 外部からの評価・表彰
- サステナビリティ経営と
価値創造プロセス -
Daigasグループの
価値創造プロセス 長期経営ビジョン2030/
中期経営計画2023 中期経営計画2023 Daigasグループ カーボン
ニュートラルビジョン
- 優先的な取り組み
(マテリアリティ) -
Daigasグループのマテリアリティ
マテリアリティの見直しサイクル
お客さま価値の創造(憲章Ⅰ)
環境との調和と持続可能な
社会への貢献(憲章Ⅱ) 社会とのコミュニケーションと
社会貢献(憲章Ⅲ) 人権の尊重(憲章Ⅳ) コンプライアンスの推進
(憲章Ⅴ) 人間成長を目指した企業経営
(憲章Ⅵ)
- コーポレート・ガバナンス
- コーポレート・ガバナンス リスクマネジメント コンプライアンス 社外取締役メッセージ
- バリューチェーンと
サステナビリティ -
バリューチェーンと
ステークホルダーへの配慮 主なエネルギーバリュー
チェーンが社会に与える影響と
サステナビリティの取り組み
- DaigasグループとSDGs
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特集:ミライ価値の共創
Daigasグループ カーボンニュート
ラル実現に向けた取り組み 特集バックナンバー
- Daigasグループの価値観と
- 2021年度
サステナビリティ活動報告 -
- お客さま価値の創造(憲章Ⅰ)
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憲章Ⅰ インデックス
お客さまの価値創造に対する
マネジメント 安心・安全1 調達段階 安心・安全2 製造段階 安心・安全3 供給段階 安心・安全4 消費段階 お客さまの声を生かす取り組み 新たな価値提案
- 環境との調和と持続可能な
社会への貢献(憲章Ⅱ) -
憲章Ⅱ インデックス
環境との調和と持続可能な
社会への貢献に対する
マネジメント 環境経営 ‐環境マネジメント‐ 環境経営 -指標・目標と実績- 気候変動への取り組み
‐リスクと機会の認識と対応‐ 気候変動への取り組み
‐CO2排出量削減効果の評価‐ 気候変動への取り組み
‐事業活動でのCO2削減貢献‐ 気候変動への取り組み
‐お客さま先のCO2削減貢献‐ 資源循環に向けた取り組み 生物多様性への取り組み 環境技術への取り組み 環境リスク低減への取り組み グリーン購買の促進 環境コミュニケーション
- 社会とのコミュニケーション
と社会貢献(憲章Ⅲ) -
憲章Ⅲ インデックス
社会とのコミュニケーションと
社会貢献に対するマネジメント 地域コミュニティとの共生 企業ボランティア活動
「“小さな灯”運動」 社会貢献活動 財団活動
- 人権の尊重(憲章Ⅳ)
- 憲章Ⅳ インデックス 人権の尊重に対するマネジメント 人権デュー・ディリジェンス 人権啓発への取り組み
- コンプライアンスの推進
(憲章Ⅴ) -
憲章Ⅴ インデックス
コンプライアンスの推進に
対するマネジメント コンプライアンスの推進 個人情報保護の取り組み 情報セキュリティ お取引先の方などからの
相談・報告
- 人間成長を目指した
企業経営(憲章Ⅵ) -
憲章Ⅵ インデックス
人間成長を目指した企業経営に
対するマネジメント 雇用 多様性の受容 ワーク・ライフ・バランス 人材育成と処遇 従業員と会社の
コミュニケーション 安全衛生
- ガイダンス・ガイドライン
対照表とESGデータ -
ガイドライン対照表
- ESGデータ集
- 環境パフォーマンスデータ 社会データ ガバナンスデータ