安心・安全3 供給段階
- 特定したマテリアリティ
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顧客の安全衛生
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取り組みの背景・考え方
都市ガスの安定供給を支えるため、計画的な設備更新やガス導管網の整備に努め、より高い供給安定性を確保する基盤の強化を進めてきました。
ガス導管の経年化対策、整圧器(ガバナー)の水害対策の実施により、大規模災害時のレジリエンスを高めるとともに、24時間365日の緊急出動体制を構築し、不測の事態の備えにも万全を期しています。保安の技能向上と伝承を図るため、保安に携わる人材育成にも努めています。
また、2022年4月1日より導管部門が分社化され、大阪ガスネットワーク(株)として事業を開始しています。
都市ガスの供給フロー
製造所で製造された都市ガスは、高圧または中圧で送り出され、その後、ガスホルダーでの貯蔵や整圧器(ガバナー:ガスの圧力を一定の範囲に調整する装置)での圧力調整を経て、お客さまにお届けしています。

広域ガス導管網の整備
ガス導管の広域網の形成
Daigasグループは、近畿圏を中心に6万kmを超えるガス導管網を張り巡らしています。製造所から高圧で送り出した都市ガスは、その後、随所に設置した整圧器で中圧、低圧と徐々に圧力を下げていきます。こうして、工場・オフィスビル・ご家庭等、供給エリアのすみずみまで、安全かつ安定的にガスをお届けしています。
大阪ガスネットワーク(株)は、こうしたガス導管網を長期的な供給計画に沿って拡充しています。
- ※ 2022年4月から都市ガスの供給事業は大阪ガスネットワーク(株)が実施しています
■ Daigasグループの都市ガスサービスエリア
供給時の安全対策
- ※ 2022年4月から都市ガスの供給事業は大阪ガスネットワーク(株)が実施しています
ガス導管の維持管理
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強度に優れたポリエチレン製のガス管
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大阪ガスネットワーク(株)は、ガス導管網を通じて都市ガスをお客さまにお届けしています。したがって、ガス導管の安全確保と適切な維持管理を最重要課題の一つと考え、古い金属製のガス管については、耐久性と耐震性に優れたポリエチレン(PE)管への入れ替え工事を進めています。
事故の未然防止のための保安対策
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橋梁管の定期点検
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大阪ガスネットワーク(株)は、ガスもれ事故などを未然に防ぐために、以下の保安対策を徹底しています。
- 1.ガスもれのないことを確認するためのガス導管の定期的な検査
- 2.整圧器、バルブ、橋梁管など、各設備の点検および整備
- 3.上・下水道、電気、電話など、他企業体の道路掘削工事等に対する事前協議、立ち会い、見回り
一元的なガス供給監視・制御システムの構築と運用
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中央指令室
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大阪ガスネットワーク(株)の中央指令室では、24時間365日の体制で、ガスの安定供給と安全を見守っています。
製造所からガス導管網のすみずみに至るまで、常時目を光らせておく「ガス供給監視・制御システム」を構築。ガス導管網の各設備からガスの圧力・流量・異常の有無等のデータをリアルタイムに集約、一元的に管理し、遠隔操作装置等によって製造・供給のコントロールや異常の監視を行っています。
サンドブラスト発生時の対応力強化
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2011年6月20日、京都市西京区洛西ニュータウンを中心とした地区で、サンドブラストによるガス供給不良事故が発生しました。 この被害を受け、大阪ガスでは、通報を受けてから供給停止範囲を決定するまでの初動対応と災害復旧を支援するシステム「BRIDGE」を開発しました。 今後もサンドブラスト復旧訓練を継続して行い、さらなる保安の強化に取り組んでいきます。
緊急時対応・災害対策
- ※ 2022年4月から都市ガスの供給事業は大阪ガスネットワーク(株)が実施しています
24時間365日の通報受付・出動体制
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中央指令室(通報の受け付け)
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事故や災害の発生など、緊急時に特に重要になるのが初期活動の体制と対応力です。
大阪ガスネットワーク(株)では、「広域一括保安体制」を構築しています。ガスもれ等に関する通報の受け付けや現場への出動指令等の業務を中央指令室に集約し、車両の位置情報や稼働状況を総合的に判断したうえで、最も早く現場に到着できる緊急車両に出動を指令しています。
なお、ガスもれ等の通報は、24時間365日、専用電話で受け付けています。通報受け付け後は、警察・消防などの関係機関と緊密に連携しながら、直ちに現場に駆けつけます。
通報内容に合わせた3つの緊急出動体制
お客さまの通報内容に合わせて迅速・的確な保安措置を講じるため、以下の3つの緊急出動体制を整えています。また、緊急時対応能力の向上を目指して、従業員教育も日常的に実施しています。
- 1. 一般出動:事故の発生の恐れがない場合の出動体制。現場へは、サービスパトロールカーが出動します。
- 2. 緊急出動:事故が発生したときや事故の恐れがある場合の出動体制。原則2人以上の係員が緊急車両で現場に急行し対応します。
- 3. 特別出動:緊急措置に多人数が必要等の事故の内容に合わせて、第1次から第3次までの特別体制を編成します。
大規模地震対策
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全社総合防災訓練
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Daigasグループは、耐震性に優れたポリエチレン(PE)管や地震の揺れを感知してガスを遮断するマイコンメーターの導入、緊急時の通信ネットワークの確保等、大地震に備えた様々な対策を講じてきましたが、1995年の阪神・淡路大震災以降、これらの対策を一層強化してきました。
供給区域内に地震計を設置し、地盤の揺れ(SI値)等の情報を迅速に把握できるようにしています。また、万一ガス導管に被害が発生する可能性がある地盤の揺れを検知した場合には、二次災害を防止するため、ガスを自動的に止める感震自動遮断装置や中央指令室からの遠隔操作でガスを止めることができる遠隔遮断装置によりブロック単位でガスの供給を停止します。さらに、中央指令室が被災した場合に備え、同機能を有する中央指令サブセンターを設置しています。
また、上記のハード面の地震対策に加え、全社総合防災訓練やe-ラーニングを活用した教育など、有事の際の従業員の対応力強化を図るためのソフト面での対策も講じています。
2021年度の全社総合防災訓練は、前年度に引き続き、全社地震訓練と事業継続計画(BCP)訓練等を並行して行い、災害対応と事業継続の各業務を同時に行うことによる様々な課題を検証しました。供給エリア内でマグニチュード6.1の直下型地震発生を想定した訓練では、社長を対策本部長とする本社対策本部を確立し、新型コロナウイルス感染拡大下で発災した場合の初動期の災害対応力の向上や復旧完了までの災害対応の流れの共有化などを図りました。約2,000人が参加し、実践的な訓練を実施しました。
関西広域連合との「大規模広域災害における連携・協力に関する協定」を締結
大阪ガスは、2020年3月26日、関西広域連合と「大規模広域災害における連携・協力に関する協定」を締結しました。
当社は、大規模広域災害における住民生活の混乱抑制やガス供給の早期復旧に向け、関西広域連合をはじめ構成団体の各府県・政令市と、平時からの情報共有と災害時の連携・協力に向けた体制の構築を進めていきます。
台風や豪雨時の積算雨量や土砂災害等の情報を一元的に把握
大阪ガスは、台風や豪雨時の積算雨量や土砂災害等の情報を一元的に把握できる「台風・豪雨情報システム」を開発し、2015年7月に運用を開始しました。
これまでは情報を把握するために、気象庁や国土交通省のウェブサイトなど様々な情報源を個別に確認していましたが、このシステムの運用により、供給エリア全域の情報を一元的に集約し、エリア内の状況を迅速に把握します。
また、近年の激甚化する台風・豪雨に備えて、供給設備の浸水対策や土砂災害対策を推進し、都市ガス供給停止リスクの極小化を図っています。河川氾濫の危険性を早期に把握するためのシステムを構築し、2021年4月から運用を開始しました。河川氾濫による供給設備の浸水リスクを把握した場合には、非常体制の設置や設備の予防措置を講じてお客さまの安全を確保します。

台風・豪雨情報システム

河川氾濫予測システム
災害復旧支援システム「BRIDGE」、
災害復旧支援モバイル報告システム「OG-DRESS」の運用
災害や事故により停止したガス供給の復旧には、様々な部門が密に連携して取り組む必要がありますが、そのためには、関係者が現場状況を即時に共有することが重要です。大阪ガスでは、災害や事故発生から復旧に至るまでの情報を一元的にリアルタイムで管理する災害復旧支援システム「BRIDGE」を開発、2012年4月から運用しています。このシステムでは地図情報と顧客情報を連携させるとともに、現場における進捗状況を一元管理することで復旧作業を“見える化”し、作業完了までの期間の短縮につながります。また、携帯電話からの作業報告を可能にする災害復旧支援モバイル報告システム「OG-DRESS」により迅速な対応に努めています。
復旧見える化システムの運用
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復旧見える化システム
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大阪ガスでは、大規模地震発生時にガスの供給を停止した地域にお住まいのお客さまに対して、わかりやすくガスの復旧情報を提供する「復旧見える化システム」を開発しました。大規模地震発生時には当社ホームページトップ画面を緊急用に切り替え、供給停止状況や復旧状況を当システムにてお知らせしています。
「復旧見える化システム」は、ガスの復旧状況を段階的に色分けしたマップと、地域ごとにガスの復旧進捗状況などを掲載した一覧リストの2種類の閲覧機能を備えています。
今後も地震などへの災害対策、防災への取り組みを充実させ、より安全に安定して都市ガスをお客さまにお届けできるよう努めていきます。
「スマートメーターシステム」の共同開発について
大阪ガスと東京ガス(株)、東邦ガス(株)の都市ガス事業者3社は、平時における検針・閉栓業務の効率化、および災害時等におけるレジリエンスの向上などを目的に、都市ガス事業におけるスマートメーターシステムの共同開発について、2020年12月に合意しました。
通信機能を有するスマートメーターの導入は、遠隔で都市ガスの検針・閉栓等を行うことにより現地作業を効率化します。また、万一のガスもれ発生時における遠隔でのガス遮断(閉栓)や災害時における遠隔での保安措置(閉栓)・復旧操作(開栓)を可能とするなど、都市ガス供給におけるさらなる保安の強化、レジリエンスの向上につながります。
今回の合意により、スマートメーターと各種業務システム間の信号授受を担うシステムに関して共同開発することで、開発コストの低減を実現するほか、社会便益向上に努めるべく、引き続き検討を進めていきます。
保安・防災の高度な知識・技能の伝承
- ※ 2022年4月から都市ガスの供給事業は大阪ガスネットワーク(株)が実施しています
Daigasグループでは、保安と防災に関する高度な知識や技能を持つ人材の育成に努めています。
ガス製造所では、2004年度より故障等の異常事象に対応する「訓練シミュレータ(OTS)」を導入しています。2016年度からはVR(仮想現実)によるアニメーション機能を備えたシステムに更新し、火災などの重大事故がよりリアルに再現できるようになり、容易に体験できないことを疑似体験することで訓練の質を上げ、技能の伝承につなげています。
大阪ガスネットワーク(株)の技能開発センターでは、事故を起こさない仕組み(保安文化)を構築するための組織的・計画的な人材育成と、作業手順の意味・背景を教える「know-why」の浸透を目指した教育を推進しています。また、過去に発生した様々な失敗事例から得た教訓を伝承するため、失敗時の状況を再現した体感型の訓練施設等も設けています。
さらに、導管業務の技能や知識を競い合う「技能選手権」を2015年から開催しており、保安レベルの向上に努めています。
このほか、ガス機器等の保安業務を担当するエナジーソリューション事業部の人材開発センターでも業務品質の向上を目的に様々な教育を行っています。
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VR(仮想現実)を用いた
「訓練シミュレータ(OTS)」での教育 -
技能選手権での様子
「保安行動4ヶ条」
お客さまに、ガスとともに「安心・安全」をお届けするための「保安」こそが、Daigasグループの最大の使命だと考えています。より一層磐石の「保安」を目指すために、「保安行動4ヶ条」を2009年11月に制定(2019年12月改定)しました。これは、業務として保安に携わる場合に共通する普遍的な行動規範であり、「ルール遵守」「確実な伝達」「再確認」「不測時の中断」を守ることで、事故・トラブルの撲滅を目指すものです。お客さまの安全に対する責任を自覚し、今後も保安に取り組んでいきます。
- Daigasグループの
サステナビリティ -
トップコミットメント
サステナビリティへの取り組み
活動トピックスと指標に
対する実績 トランジション
ファイナンス- Daigasグループの価値観と
サステナビリティ推進体制 -
Daigasグループの理念体系
Daigasグループ企業行動憲章と
マネジメント方針 Daigasグループ企業行動基準 サステナビリティ推進体制と
マネジメント ステークホルダー
エンゲージメント 参加イニシアチブ 外部からの評価・表彰
- サステナビリティ経営と
価値創造プロセス -
Daigasグループの
価値創造プロセス 長期経営ビジョン2030/
中期経営計画2023 中期経営計画2023 Daigasグループ カーボン
ニュートラルビジョン
- 優先的な取り組み
(マテリアリティ) -
Daigasグループのマテリアリティ
マテリアリティの見直しサイクル
お客さま価値の創造(憲章Ⅰ)
環境との調和と持続可能な
社会への貢献(憲章Ⅱ) 社会とのコミュニケーションと
社会貢献(憲章Ⅲ) 人権の尊重(憲章Ⅳ) コンプライアンスの推進
(憲章Ⅴ) 人間成長を目指した企業経営
(憲章Ⅵ)
- コーポレート・ガバナンス
- コーポレート・ガバナンス リスクマネジメント コンプライアンス 社外取締役メッセージ
- バリューチェーンと
サステナビリティ -
バリューチェーンと
ステークホルダーへの配慮 主なエネルギーバリュー
チェーンが社会に与える影響と
サステナビリティの取り組み
- DaigasグループとSDGs
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特集:ミライ価値の共創
Daigasグループ カーボンニュート
ラル実現に向けた取り組み 特集バックナンバー
- Daigasグループの価値観と
- 2021年度
サステナビリティ活動報告 -
- お客さま価値の創造(憲章Ⅰ)
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憲章Ⅰ インデックス
お客さまの価値創造に対する
マネジメント 安心・安全1 調達段階 安心・安全2 製造段階 安心・安全3 供給段階 安心・安全4 消費段階 お客さまの声を生かす取り組み 新たな価値提案
- 環境との調和と持続可能な
社会への貢献(憲章Ⅱ) -
憲章Ⅱ インデックス
環境との調和と持続可能な
社会への貢献に対する
マネジメント 環境経営 ‐環境マネジメント‐ 環境経営 -指標・目標と実績- 気候変動への取り組み
‐リスクと機会の認識と対応‐ 気候変動への取り組み
‐CO2排出量削減効果の評価‐ 気候変動への取り組み
‐事業活動でのCO2削減貢献‐ 気候変動への取り組み
‐お客さま先のCO2削減貢献‐ 資源循環に向けた取り組み 生物多様性への取り組み 環境技術への取り組み 環境リスク低減への取り組み グリーン購買の促進 環境コミュニケーション
- 社会とのコミュニケーション
と社会貢献(憲章Ⅲ) -
憲章Ⅲ インデックス
社会とのコミュニケーションと
社会貢献に対するマネジメント 地域コミュニティとの共生 企業ボランティア活動
「“小さな灯”運動」 社会貢献活動 財団活動
- 人権の尊重(憲章Ⅳ)
- 憲章Ⅳ インデックス 人権の尊重に対するマネジメント 人権デュー・ディリジェンス 人権啓発への取り組み
- コンプライアンスの推進
(憲章Ⅴ) -
憲章Ⅴ インデックス
コンプライアンスの推進に
対するマネジメント コンプライアンスの推進 個人情報保護の取り組み 情報セキュリティ お取引先の方などからの
相談・報告
- 人間成長を目指した
企業経営(憲章Ⅵ) -
憲章Ⅵ インデックス
人間成長を目指した企業経営に
対するマネジメント 雇用 多様性の受容 ワーク・ライフ・バランス 人材育成と処遇 従業員と会社の
コミュニケーション 安全衛生
- ガイダンス・ガイドライン
対照表とESGデータ -
ガイドライン対照表
- ESGデータ集
- 環境パフォーマンスデータ 社会データ ガバナンスデータ