強みをフルに発揮
強みをフルに発揮
Project市原バイオマス発電所
各社、それぞれの各社、それぞれの強みをフルに発揮
火力発電からバイオマス発電へ
「市原バイオマス発電所株式会社」を設立
「大阪ガスが持つ火力発電のノウハウをバイオマス発電に活かせないか」
本プロジェクトの始まりは、伊藤忠商事と三井E&Sエンジニアリングからそう声をかけられたことだった。
3社は共同出資により、合弁会社「市原バイオマス発電所株式会社」を設立。2018年に発電所の施工を開始した。
2020年には、植物由来の木屑等を燃料とし、カーボンニュートラルを実現する市原バイオマス発電所※が完成。その後は順調に運転を開始したが、完成までの道のりはさまざまな想定外とともにあった。
※ 燃料となる植物の成長から発電所での消費までの過程で、二酸化炭素排出量が増加しないクリーンな発電方式を採用。
各社、それぞれの強みをフルに発揮
市原バイオマス発電所では、木材の端材やおが粉から成形される木質ペレット、アブラヤシからパーム油を搾油したあとに残るパーム椰子殻、これらを燃料にしている。燃料調達を担ったのは伊藤忠商事だ。
発電所建設の中心には三井E&Sエンジニアリングが立った。運転開始後は、同社の海外子会社が発電所の運用オペレーションとメンテナンスを担っている。
大阪ガスは火力発電所の建設から運転までのノウハウを持つ立場として、プロジェクト進行の調整役にまわった。
調整が求められる場面は多岐にわたり、発電設備の設計から建設工事の現場、運転開始後のオペレーションに関すること、トラブル時のサポート対応まで。各所でこれまでの知識と技術が大いに活かせると考えたためだ。
協議の場ではお互いの意見が分かれることもあったが、発電所を無事に完工させたいという想いは3社ともに一度もぶれなかった。ときにはお互いが譲れない点をぶつけ合いながら熱い協議を進め、ついに起工式の日を迎えた。
数々の困難も3社ワンチームで乗り越える
発電所建設の最中、現場は各所に未曾有の被害をもたらした大型台風の直撃に遭い、その翌年には新型コロナウイルスの影響も受けた。
台風直撃の際には想定外の修復作業が発生し、人員とリソースの確保に追われた。新型コロナウイルスの感染拡大により、海外からの技術指導者が来日不可能となった際には、急遽リモート環境を導入して現場への指示を仰ぐことに。
ひと筋縄でいかないことも多かったが、建設現場において先進的な取り組みを進めるよい機会になったとも感じる。
各々の強み、知識と技術、そしてノウハウをすべて集約した結果、市原バイオマス発電所は工程の遅れを最小限に抑え込み完工にいたった。幾度となく繰り広げられた協議の末に完工した市原バイオマス発電所は、今日もクリーンな電気をつくり出している。
困難を乗り越えた先にあった発電所の完成
本プロジェクトは、建設にいたるまでの協議段階でも多くの困難に直面しました。合弁会社の設立により各社の技術やノウハウを共有できるのは大きなメリットでしたが、私たち合弁会社としての視点、各参加企業としての視点、ふたつの視点を持って協議に挑まなければならなかったんです。
合弁会社としての利益を最優先に考えつつ、自社の利益も確保しなければならない。協議の際には多くの葛藤がありました。時には何時間も意見をぶつけ合ったこともありましたが、最終的には腹を割って話せる関係性を築けたと思います。
建設過程には想定外のトラブルに見舞われましたが、3社でともに困難を乗り越えたからこそ、より強固な絆が生まれました。
各社がお互いを尊重し合いながら、各々の力を最大限に発揮できた結果が、市原バイオマス発電所という形で残ったことをうれしく思います。