水素・アンモニア
水素・電力・CO₂を同時製造する
ケミカルルーピング燃焼技術の開発
概要
酸化鉄の酸化還元作用を利用して水素、電力、CO2を同時に製造することのできるケミカルルーピング燃焼(CLC※1)技術の開発に取り組んでいます。当社は本技術を活用して、バイオマスを燃料としたグリーン水素等を製造・供給し、お客さまのカーボンニュートラル化に貢献することを目指しています。
※1 CLC:Chemical Looping Combustion
当社が目指すCLC技術実用化時の姿
背景
CLC技術は、酸化鉄を循環させながら燃料や水、空気と反応させることで水素、電力、CO2を同時に取り出すことのできる技術です。燃料には、石炭やバイオマスを用いることが可能です。
カーボンニュートラルな燃料であるバイオマスを用いた場合、グリーンな水素と電力、バイオマス由来のCO2を製造・供給の実現が期待されます。
一方、バイオマスを燃料に水素を製造しようとするCLC技術の実装例は過去なく、実用化に向けては装置設計技術確立に向けた要素技術開発やプロセス実証等の技術課題を解決していく必要があります。
原理
CLC技術は、酸化鉄の酸化還元作用を利用した技術です。酸化鉄が3つの反応塔(燃料反応塔、水素生成塔、空気反応塔)を循環しながら、各反応塔で燃料や水、空気と反応することで、水素、電力、CO2が生成されます。
<燃料反応塔> 酸化鉄中のO(酸素原子)がバイオマスと反応し、CO2を発生させます。
<水素生成塔> 酸化鉄が水蒸気のOと反応し水素を発生させます。
<空気反応塔> 酸化鉄が空気中のOと反応し、反応しない窒素が排出されます。
空気反応塔の反応は大きな発熱反応であり、この熱は発電に利用されます。
ケミカルルーピング燃焼(CLC)技術原理
開発内容
CLC技術実用化に向け、当社は一般財団法人カーボンフロンティア機構(JCOAL)らと共同で、NEDO(※2)の「CO2 分離・回収型ポリジェネレーションシステム技術開発」事業(※3)(2020-2024年度)にて研究開発を進めています。本事業では、石炭とバイオマスを燃料としたCLC技術の要素技術開発と300 kW規模(※4)の試験装置でのプロセス実証に取り組んでいます。
※2 NEDO:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
※3 正式事業名:「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/次世代火力発電基盤技術開発/CO2分離・回収型ポリジェネレーションシステム技術開発/ケミカルルーピング燃焼ポリジェネレーション技術開発」(外部リンク:https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP_100115.html)
※4 単位時間あたりの供給燃料熱量を表す
酸化鉄の循環流動特性を把握する目的で大阪ガス構内に設置したコールドモデル試験装置
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