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フードサイエンスラボ ~第6号~

第3回 ポリフェノールの健康効果研究

第6号

FOOD SCIENCE LABORATORY

フードサイエンスラボ

6

Quiz
リコピンをたくさん摂取できるのはどっち?

写真をクリックしてください

ポリフェノールの健康効果研究

野菜に含まれるポリフェノールは、人間の体内では主に小腸や大腸で働きます。摂取されたポリフェノールの中で、代謝により吸収されるものは10%前後以下と考えられています。まだまだ全貌は解明されていませんがポリフェノールが体内に吸収されること、その代謝産物が健康増進効果があること[1,2] は確かなようです。一方で、残りの90%程度は吸収されないのですが、全く無駄になるわけではありません。腸管に入ったポリフェノールは吸収されにくいため長時間、腸内にとどまります。その際に酸化ストレスによっておこる消化管粘膜の炎症の発症を抑える効果[1,3]、 油脂の吸収を抑制することによる肥満防止効果[1,4]、また、アミラーゼに対する阻害作用もあり、腸管におけるデンプンなどの加水分解の抑制は糖類の腸管吸収を抑え血糖値を下げる効果[1,5]があるとされています。きちんと野菜を取ることは体調を整え、健康に良い影響を与える可能性が高いのです。
ですが、これらは本当に、人を含め動物に対して効果を発揮するのでしょうか。未だに未解明な部分は多いのですが、マウスを用いた実験で理解を深めようという研究がなされています。1つ研究[6]を紹介しますと、3つのマウス群に対して、それぞれ低脂肪食品、高脂肪食品、高脂肪食品にポリフェノールの一種である茶カテキン(EGCG)を混ぜたものを与え16週間に渡り体重、内臓脂肪量、血中の糖濃度について測定しています。結果は図6に示され、ただ高脂肪食品を食しているマウスと比較して、高脂肪食品と茶カテキンを食しているマウスは体重、内臓脂肪量、また血中の糖濃度において下回り、脂肪の吸収や血糖値を下げる効果が表れていることがわかります。

図6 食事によるマウスの変化

今回のラボレターでは体に良いとされるポリフェノールについて述べさせていただきました。今後、野菜を食べる際、お茶を飲む際、少しポリフェノールについて意識してみてはいかがでしょうか??

[1] 的場ら, 日本調理科学会誌, 2011, 44, 277. [2] Olthof, M. R. et al., J. Nutr. 2001, 131, 66. [3] Manach, C. et al., Am. J. Clin. Nutr. 2005, 81, 230. [4] McDougall, G. J. et al., Biofactors, 2006, 23, 189. [5] Nakai, M. et al., J. Agric. Food Chem. 2005, 53, 4593. [6] Bose, M. et al., J. Nutr. 2008, 138, 1677.

計測機器紹介

紫外可視分光光度計

物質はそれぞれある波長の光を吸収します。この吸収する程度を測定することで、物質の検出・定量を行います。今回の実験では薬品を用いて、ポリフェノール類に吸収波長を付与し、その波長の吸光度を測定しています。

紫外可視分光光度計

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不正解

不正解 不正解

答えはBの加熱したトマト

加熱によりトマトのリコピンの量や抗酸化性が向上すると報告[7]されています。
これは、加熱によるトマトの軟化や細胞壁の破壊によりトマトから有効成分がでてきやすくなったためだと考えられています。
生で食べるよりリコピンの量は約2.7倍!!抗酸化活性も約1.3倍向上します。

リコピン量

正解

正解 正解

答えはBの加熱したトマト

加熱によりトマトのリコピンの量や抗酸化性が向上すると報告[7]されています。
これは、加熱によるトマトの軟化や細胞壁の破壊によりトマトから有効成分がでてきやすくなったためだと考えられています。
生で食べるよりリコピンの量は約2.7倍!!抗酸化活性も約1.3倍向上します。

リコピン量