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夢の新素材

"フルオレンセルロース"の開発者を訪ねる!

オー太とジー子の現場突撃訪問

オー太とジー子

掲載日:2018.03.28

エネルギー技術研究所バイオ・ケミカルチームマネジャー 加藤 真理子

エネルギー技術研究所バイオ・ケミカルチーム副課長 山田 昌宏

エネルギー技術研究所バイオ・ケミカルチーム 杉本 雅行

オー太 知的好奇心旺盛でエネルギッシュ。素直な性格の純真ワンコ。

ジー子 面倒くさいことが嫌い。行動が省エネ化しているエコネコ。

「セルロースナノファイバー」って一体何?

ジー子

今日はいったい何やの? うち忙しいんやけど。

オー太

ジー子さん、今日はすごいんですよ! 山田さん、杉本さんのお二人は、未来のモノづくりを大きく変える可能性がある素材を開発しているんです! ですよね?

山田さん「はい、「フルオレンセルロース」という素材なんですが」 ジー子「ちょい待ち。大阪ガスってガス会社やろ。なんでそないなもん作ってるんや」
山田さん

そう思いますよね。そこもちゃんとお話しします。まず「セルロースナノファイバー(CNF)」という、最近注目されている植物由来の素材があるのですが。これは、木材から作られるパルプを、直径3~4ナノメートル(ナノは10億分の1)まで細かくした繊維です。

オー太

パルプって紙の原料に使われている、あのパルプですか?

山田さん

そうです。このCNFは、なんと強度が鉄の5倍なのに、軽さはわずか5分の1なんです。そこで、樹脂に混ぜ合わせることによって「強くて軽いプラスチック」が作れないか? と期待されているんです。

ジー子

ほんまかいな。うち初耳やけど?

杉本さん

まだ一般の方々が耳にするほど実用化が進んでいないのですが、もしこのCNFを用いた強化プラスチックが実用化されれば、自動車や飛行機などが軽量化され、燃費が飛躍的に向上すると言われています。しかも原料は木材なので環境負荷が低く、地球にも優しい。

オー太

いいことづくめですね!

山田さん

そう、まさに「夢の素材」なんです。木材国でありパルプ資源をたくさん保有している日本としては、世界的な潮流である循環型社会の実現に、CNFの実用化で貢献したいと考えていて、閣議決定された「日本再興戦略2016」の中にも、このCNFの開発が挙げられているくらいなんですよ。と期待されているんです。

実用化するには大きな壁が・・・!?

ジー子

そんだけええもんやったら、はよ作ったらええやんか。

オー太

ジー子さん、またそんな簡単に・・・。

杉本さん

実はCNFの実用化には1つ、とても大きな壁があるんです。パルプは水の中で細かく砕く必要があるので、CNFは大量に水気を含んでいるのが普通です。でもそれだと、石油由来で「油」の性質を持つプラスチック原料とうまく混ざらないんです。

ジー子

それはうちでもわかるわ。水と油やからな。

杉本さん

その通りです。でもだからといってCNFから水を抜くと、繊維がボロボロになってしまって使いものになりません。

オー太とジー子
山田さん

プラスチックメーカーは、樹脂と混ざりやすい粉末状態のCNFが欲しいのですが、CNFが大量に含んだ水分を取り除くことが高いハードルとなって、なかなか粉末化が実現できなかったというわけです。

オー太

それを何とかしたのが大阪ガスということですね!?

山田さん

はい、ようやく大阪ガスの登場です。

ユニーク素材「フルオレン」が課題を克服!

山田さん

大阪ガスはかつて、石炭からガスを製造していた時代に、副産物を有効活用する中で「フルオレン」という物質を生み出しました。フルオレンは現在、大阪ガスケミカルが製造・販売していて、携帯用カメラレンズや液晶ディスプレイなどに用いられ、世界でも高いシェアを誇ります。

オー太

そんなすごい製品を大阪ガスが!?

山田さん

あまり知られていないんですけどね(苦笑)。ともあれこのフルオレンを、何か新しい用途に使えないかといろいろ検討している中で、木材と相性が良いことがわかってきたんです。

ジー子

棚からぼた餅かいな。

山田さん

いやいや、研究開発の成果です! で、木材といえばセルロースです。将来性が期待されているセルロースナノファイバーの実用化への道を、もしもフルオレンが拓くことができたなら、社会的に非常にインパクトの強い製品になると考え、本格的に研究開発に着手したのです。

ジー子

ふーん、ガス会社がこないなモノづくりをやってるのは、そういうわけやったんやな。

杉本さん

そうなんです。それからさまざまな方法を試して研究開発を進めました。

オー太とジー子
山田さん

そして、膨大な試行錯誤を重ねた結果、ついにCNFとフルオレンをうまく化学反応させることに成功しました。

オー太

やりましたね!

山田さん

やりました(笑)! 化学反応によって、樹脂と混ざりやすい性質に変化し、CNFが持っていた課題をうまく解決する「フルオレンセルロース」が誕生しました。

杉本さん「これがフルオレンセルロースを電子顕微鏡で見た画像です」 ジー子「細い糸みたいなもんが、ぐるぐるにからまり合っとるな」
杉本さん

このようにフルオレンセルロースは細くて長い繊維です。それをプラスチックの原料に混ぜ込むと、繊維がクサビのようにからんでプラスチックを強くするのです。

オー太

鉄筋コンクリートの鉄筋の役割のような?

杉本さん

イメージは近いですね。鉄筋とコンクリートがうまくなじんでいなければ強度が確保できないのと同様に、フルオレンセルロースも、樹脂と繊維がうまくなじむことで初めて強度を向上させることができるのです。

実用化されれば世界はどう変わる?

山田さん「そうしてできたフルオレンセルロースが、これです」 ジー子「小麦粉みたいやな」
山田さん

湿ってもいない、ボロボロでもない、ちゃんとした粉末です。大阪ガスが初めてCNFの粉末を世に出したのは2015年のことで、世界から画期的だと注目を浴びました。それから数年経ちましたが、今でもCNFの粉末化に成功しているのは、世界でもわずか数社しかありません。

オー太とジー子
加藤さん

オー太くん、ジー子ちゃん、こんにちは! マネジャーの加藤です。ごめんなさいね、ちょっと別の会議に出ていて・・・。

オー太

こんにちは! 今ちょうど、フルオレンセルロースがいかに先駆的であるかという話を聞いていたところです。ところで、実用化のメドは立っているんですか?

加藤さん

それはまだこれからの話。今、いろいろな樹脂メーカーさんと一緒に開発を進めていているところなの。すでに多くの問い合わせを受けていて、フルオレンセルロースのサンプル提供も進めています。

加藤さん「注目度が高いことはまちがいありません」
加藤さん

これは、実際にフルオレンセルロースを樹脂に混ぜて成型したプラスチックです。

加藤さん「ちゃんとカタチになっているでしょう?」 ジー子「まんまや、プラスチックやな」
山田さん

実用化に向けて乗り越えないといけない壁はまだまだたくさんあるものの、「樹脂と混ざらない、粉末にできない」という課題はクリアして、今は一つ上の課題に対して解決を試みている段階です。競合する他メーカーの一歩先を行っていることはまちがいありません。

ジー子

ところで実用化されたら、うちに何かええことあるの?

加藤さん

フルオレンセルロースが何に用いられるかは、今後の開発次第。でも、うまくいけば身の回りのいろいろなモノが、より強く、より軽くなります。ある試算では、自動車の重量を20%も軽量化できるとされています。これは、わずか100gの軽量化でしのぎを削っている自動車メーカーにしてみれば、すごいこと。クルマや飛行機といった輸送機器に限らず、オー太くんやジー子ちゃんが普段使っているモノにもフルオレンセルロースが用いられればいいですね。さまざまなモノづくりの常識を変える素材へと育ってくれることを夢見ています。

モノづくりの素材について想像するオー太とジー子
オー太

より強く、より軽く、よりエコな素材ですからね!

ジー子

結局うちにとってええこと、あんまりなさそうやな。

ジー子

ジー子さん、社会全体にとって、いいことがいっぱいなんですよ。それでいいじゃないですか!

オー太「今日はありがとうございました!」

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