都市ガスのカーボンニュートラル化を実現する技術の実用化へ
(株)INPEX(以下、INPEX)と大阪ガスは共同で、INPEXが(国研)新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO)から採択された助成事業のもと、2021年10月に、ガスのカーボンニュートラル化に向けたCO2-メタネーションシステムの実用化を目指した技術開発事業を開始しました。本事業の実証はINPEX長岡鉱場(新潟県長岡市)越路原プラントに接続して構築する場所にて行う予定で、当社はINPEXと業務委託契約を結ぶ形で本事業に参画します。
二酸化炭素と再生可能エネルギーで生成したグリーン水素から合成メタンを製造することで、都市ガスのカーボンニュートラル化が実現できます。合成メタンは都市ガスの既存インフラおよび機器をそのまま利用でき、電化が難しい分野への展開も可能です。本事業では、INPEX長岡鉱場内から回収した二酸化炭素を用いて合成メタンを製造する実証実験を2024年度後半から2025年度にかけて実施するとともに、製造した合成メタンを同社の都市ガスパイプラインへ注入する予定です。なお、本事業で開発するCO2-メタネーション設備の合成メタン製造能力は約400Nm3/hを予定しており、世界最大級※の規模になります。
※2021年10月15日 現在
カーボンニュートラル技術の研究開発拠点「Carbon Neutral Research Hub」開設
当社の研究開発の発祥の地である大阪市此花区の酉島地区にカーボンニュートラル技術の研究開発拠点「Carbon Neutral Research Hub」(CNRH)を開設しました。「2050年カーボンニュートラル実現」とそれまでの徹底した二酸化炭素排出量削減に向けた研究開発を加速していくために、Daigasグループ内での技術連携やアライアンスパートナーとの共同研究を推進していくとともに、様々なカーボンニュートラル技術の実験設備を拡充していきます。
オンサイト型バイオガス化システム「D-Bioメタン」のサービス開始
大阪ガスの100%子会社のDaigasエナジー(株)は、食品廃棄物を処理してバイオガスを製造するオンサイト型バ イオガス化システム「D-Bioメタン」を開発しました。当システムは、食品廃棄物を55℃の高温で発酵させ、メタンガスを製造します。製造したメタンガスを燃料としてガスボイラやガスエンジンを運転し、カーボンニュートラルな蒸気や電気を作り、お客さま施設で利用します。対象となる施設は1日あたり1~2トンの食品廃棄物が発生する大型商業施設や食品工場などを想定しており、従来の堆肥化や焼却による発電と比べ、温室効果ガス排出量の大幅な削減につながります。
Daigasエナジー(株)がお客さま施設に当システムを設置し、食品廃棄物をバイオガスに加工するエネルギーサービス※としてご提供することを原則とし、2021年10月からサービスの申込受付を開始しています。
※エネルギーサービス:エネルギー設備の提案に際し、お客さまにご購入いただくのではなく、Daigasエナジー(株)がお客さまの施設に設備を設置しイニシャルレスを実現
茶かすを燃料とするバイオマスボイラシステム「D-Bio Steam」
Daigasエナジー(株)は、(株)大川原製作所製の流動床炉※と三浦工業(株)製の排ガスボイラを組み合わせ、Daigasエナジー(株)の燃焼技術・廃棄物処理技術を生かしたバイオマスボイラシステム「D-Bio Steam」を構築しました。当システムは茶かすの安定的な自燃と排ガスボイラで発生した蒸気の生産工程への利用を可能にします。和歌山ノーキョー食品工業(株)の海南工場では、茶かすを燃料として利用することで廃棄物量が年間で約90%減少する見込みで、さらにカーボンニュートラルな蒸気の利用により年間で約600トンのCO2削減に貢献します。今後工事を進め、2023年5月からの運転を目指します。
※流動床炉:下部から噴き出す空気の力で流動する高温の砂のなかで燃焼させることで、水分の多い物質でも安定燃焼させることができる燃焼炉
「工事現場をAIで自動認識する車載カメラ」を開発
〜ガス管パトロール業務の生産性向上・保安品質向上を可能に〜
道路の下にはガス以外にも水道、下水道、電気、通信など様々なインフラが存在し、メンテナンスにあたって道路を掘削する工事が行われます。大阪ガス※以外の事業者がガス管付近で工事を実施する場合は、掘削時にガス管を破損しないよう当社との事前協議をお願いしていますが、届出なく工事が実施されるケースがあるため、点検員がパトロール車で届出なし工事をチェックしています。
開発したAIカメラを路線バスに搭載することで、これまでのパトロール業務に代替し、業務の生産性の向上を図 ります。また、路線バスは同一路線を一日に複数回走行するため、現状よりも巡回頻度を高められることから、保安品質の向上も期待できます。
※2022年4月から都市ガスの供給事業は大阪ガスネットワーク(株)が実施しています
暮らしまわりのサービスをまとめてご提供
デジタルプラットフォーム「スマイLINK」のサービスを開始
大阪ガスは、当社が厳選した事業者と連携して、お客さまの暮らしのお役に立つ商品やサービスをパソコンやスマートフォンなどを介して提供する新サービス、暮らしのデジタルプラットフォーム事業「スマイLINK」を2022年3月に開始しました。
「スマイLINK」は、ネットショッピングなどのオンラインサービスに加え、医療、家事代行といったオフラインでのサービスも充実させ、様々なサービスをご提供します。また、ご自宅のテレビやモニターから大画面でネットショッピングやエンタメコンテンツを家族全員で楽しむことが可能になる、当社のお客さま専用テレビスティックを2022年8月に発売しました。今後は全国の様々なパートナー事業者にもサービスを展開していきます。
Daigasグループは、デジタル技術を利用し、お客さまのニーズの変化に迅速・柔軟に対応した付加価値の提案を行うことで、DX(デジタルトランスフォーメーション)をさらに推進し、お客さまのライフスタイル・ビジネススタイルの変化に寄り添い、お客さまごとに最適なサービス・ソリューションを展開することで、変化のなかでのNewノーマルに対応した暮らしとビジネスの実現を目指していきます。
大阪ガスのインターネット「さすガねっと」
当社は、これまでガス・電気といったエネルギーだけではなく、ガス機器やリフォーム、住まいのお困りごとを解決する「住ミカタ・サービス」などをワンストップで提供し、お客さまの様々なニーズにお応えしてきました。
今回、インターネットサービス「さすガねっと」を提供することで、生活インフラサービスの契約をまとめたいというお客さまの声にお応えします。
家庭の悩みを解決するプリント管理アプリ「プリゼロ」
昨今、子どもを持つ共働きのご家庭の増加などもあり、日々の学校や習い事先などから配布される多数のプリント類の保管・保存方法や、行事などのスケジュール管理が保護者の悩みの一つとなっています。当社ではそれらのお困りごとを解決すべく、スマートフォンでプリントやイベント、タスクの管理をオールインワンで行い、ご家族で共有できるアプリ「プリゼロ」を開発しました。今回の開発にあたっては、当社グループ内の父親・母親である子育て中の従業員150人がモニターとして参画し、実体験を踏まえた意見を反映しました。
今後は行政や学校とも連携し、当サービスのさらなる活用について検討を進めたいと考えており、その第一歩として、大阪府豊中市と「子育ち・子育て支援に関する」連携協定書を2021年3月に締結しました。子育て世帯へのワークショップなどを通じて、社会的な課題の発見・解決にも寄与していきます。