木材保護塗料「キシラデコール」を通じて日本の森林を守る 木材保護塗料「キシラデコール」を通じて日本の森林を守る

22.03.24

木材保護塗料「キシラデコール」を通じて
日本の森林を守る

取材・執筆:Daigas STUDIO 編集部

大阪ガスケミカル(株) 木材保存剤営業部 副部長

澤田 健児

Daigasグループの中核企業である大阪ガスケミカルは、炭素素材などの化学製品を扱う会社です。同社が販売する木材保護塗料「キシラデコール」は、一般住宅から歴史的建造物まで、様々な木造建築物に使用されています。同社の澤田健児さんは、2006年に入社して以来、一貫してキシラデコールの営業活動を担当。売上拡大に情熱を傾けています。
「キシラデコールの販売拡大を通じて日本の森林を守る」という強い思いを抱いて日々仕事に邁進する澤田さんに、商品力はもちろんのこと、塗料がなぜ環境に貢献できるのか、お話を伺いました。

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木材を保護し寿命を伸ばす画期的な塗料
プロが選ぶランキングで16年連続1位を獲得

木材を保護し寿命を伸ばす画期的な塗料プロが選ぶランキングで16年連続1位を獲得 木材を保護し寿命を伸ばす画期的な塗料プロが選ぶランキングで16年連続1位を獲得

「キシラデコールは木材に塗る保護塗料ですが、近年、森林保護・環境貢献の観点からも大きな注目を集めています。Daigasグループがエネルギーの面からだけでなく、木材保護の面からも環境貢献に取り組んでいることを知ってもらえたら嬉しいですね」と澤田さん。

写真:澤田 健児 写真:澤田 健児

キシラデコールは、防腐・防カビ・防虫木材保護塗料として日本初。一般の住宅はもちろん、熊本城の天守閣や、国立競技場、国宝、重要文化財、公共建築物など、あらゆる種類の建築物に活用されています。また、その性能の高さから、建築雑誌の「木材保護塗料ランキング」では、16年連続1位に輝くほどプロからも高評価を得ています。

澤田さんは実際に職人の方から「木材保護塗料としてはキシラデコール以外考えられない」と嬉しい声を何度も聞いているとのこと。他社の製品よりも塗りやすく、塗り継ぎが目立たないという利点や、さらに数年経っても塗装時の状態を維持できることから、木造建築物に携わる多くのプロの職人にとってはなくてはならない製品になっていると澤田さんは確信しています。

写真:熊本城 写真:熊本城
熊本城 天守閣

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徹底したお客さまへのヒアリングと改良で木材保護塗料として確固たる地位を築く 徹底したお客さまへのヒアリングと改良で木材保護塗料として確固たる地位を築く

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徹底したお客さまへのヒアリングと改良で
木材保護塗料として確固たる地位を築く

写真:キシラデコール掲載雑誌

「キシラデコールはもともと、1971年にドイツのデソワグ社(現社名アクゾノーベル社)と武田薬品工業が技術提携して輸入販売を始めました。その後、2005年に武田薬品工業から大阪ガスに事業が譲渡され、大阪ガスグループの一員としてさらなる事業の発展を目指すこととなりました」
現在は高く評価されているキシラデコールも、決して順風満帆に成長してきたわけではない、と澤田さんは振り返ります。
キシラデコールは発売以来、何度も改良が行われています。当初はドイツで作られた製品を輸入してそのまま販売。しかし日本はドイツに比べて湿度が高く、気候や風土が異なるため、防カビ性能を高める必要がありました。

「先輩から聞いた話ですが、研究所での開発作業に加えて、重視したのはお客さまの声でした。営業担当とともに研究者も、お客さまである塗装職人さんに直接ヒアリングを行い、どうすれば使い勝手が良くなるか検討を重ねました。なかには年間120日も現場に通った担当者もいたそうです」

さらに、日本には「白木(しらき)」を愛でる文化があり、白木の美しさを維持したい、あまり色を付けたくないという要望が多かったことから、1990年代には透明な仕上がりと紫外線カット機能を両立した新製品「白木やすらぎ」が誕生。
「『白木をいつまでも美しく保つ』というご要望は今も多く、より高い性能を求められます。さらなる品質改善のために、研究開発のスタッフとともにお客さま先を訪れ、改良につなげたこともありました。白木の美しさを何も塗っていないかのようにクリアに見せながら、しっかりと風化から守る塗料を開発するのは至難の業。今もなお永遠の課題です」と澤田さん。

また、「日本において“木材保護塗料”という市場を作ったのはキシラデコールであることは間違いありません。しかし1990年代から2000年代にかけて他社が類似商品を続々と出したことで激しい市場競争が起こりました。その影響によりシェアも一時ダウンしたのです」と、振り返ります。

シェア回復のために、澤田さんたちはお客さまとの会話を一番大切にしようと行動します。お客さまが知りたい製品情報や性能データをタイムリーに分かりやすく提供するため、カタログやホームページを刷新。また、様々なニーズに対応するため、製品ラインナップの拡充を図りました。例えば、職人さんの作業性をより良くするための速乾・低臭性の商品、変色した古い木材にもしっかり着色できるメンテナンス向けの商品、DIYでも取り扱いやすい水性商品など、新商品の開発や既存商品の改良を次々進めました。

常にお客さまの声に耳を傾ける姿勢は、Daigasグループ全体が大切にしていること。これらの努力の結果、キシラデコールは揺るぎない木材保護塗料ナンバーワンブランドの地位を確立したのです。

キシラデコール5つの性能。耐候性、耐久性、防腐・防カビ・防虫効果、美観、作業性

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次世代を生きる人々のために
森林を守る

次世代を生きる人々のために森林を守る 次世代を生きる人々のために森林を守る

森林はCO2を吸収することから、森林の保護や森を育てることは持続可能な社会作りにとっての大きな課題です。澤田さんは、同製品の大きな存在意義として、木材を長持ちさせることにより「森林を守ること」を挙げます。

「以前、親子代々、林業を営む方から『今日伐採する杉は、何十年も前に私の祖父が植えた杉です。最近植えた杉は、孫の世代が利用するでしょう』と聞いたことがあります。健全な森林を維持するには、間伐も含めた“樹木の伐採と植え替えのサイクルを保つ”ことが非常に重要です。このサイクルが短期間だと、森の育成が不十分になり、山間地の土砂災害にもつながります。そのためには使用する木材をどう長持ちさせるのか方法を考える必要があります。住宅や重要文化財の保護に加えて、キシラデコールの存在意義は、そこにあるのではないかと思っています」

キシラデコールを、知る人ぞ知る商品から「誰もが知る商品」に。木材の保護を通じて、日本の森林の持続可能性に貢献したい。
キシラデコールを、知る人ぞ知る商品から「誰もが知る商品」に。木材の保護を通じて、日本の森林の持続可能性に貢献したい。
キシラデコールを、知る人ぞ知る商品から「誰もが知る商品」に。木材の保護を通じて、日本の森林の持続可能性に貢献したい。
写真:キシラデコール愛用タレント

2021年に迎えた販売50周年では、キシラデコールの愛用者である人気男性タレントをプロモーションツールで起用。他にも、DIY系有名YouTuberとコラボした動画を配信するなど「『知る人ぞ知る』商品から『誰もが知る』商品に」育てる活動に力を入れるなど、プロモーション活動にも挑戦。シェア拡大を目指しています。
2020年のコロナ禍の在宅時間増加中に、DIYに取り組む人や女性ユーザーが増えたことも重なり「一時は生産が追いつかなかったほど売り上げが伸びました」と澤田さんは手応えを感じています。
「キシラデコールの仕事をするようになって、街なかで古びた木造建築物を見ると、『塗ってあげたいな』と思うようになりました。キシラデコールを通じて人々が楽しみながら木材を気軽に活用するようになり、その結果として森林が守られるようになることが、私の目標です」と、未来のビジョンを語ります。
また、「さらなる環境への取り組みとして、塗料の改良に手を緩めることなく、塗料そのもののCO2排出量の低減のために、溶剤使用量の極限までの削減や植物由来原料を用いた製品の開発にもチャレンジしていきたいと考えています」と、常に商品に対して、ひたむきに向かう言葉で締めくくりました。
50年にわたってこの国の木造建築物を守ってきたキシラデコール。活躍する場は、環境危機が叫ばれる今、ますます広がっていくことは間違いないでしょう。この製品を未来につなぎ、さらに進化させていくために、澤田さんの努力が止むことはありません。

大阪ガスケミカル(株) 木材保存剤営業部 副部長澤田 健児

2006年、大阪ガスケミカルに転職。以来、関西、関東、九州などの地域で、一貫してキシラデコールおよび防蟻剤キシラモン・タケロックの営業活動に携わる。「自分の仕事を業界全体の木材利用の活性化につなげたい」がモットー。

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