脱炭素化のキーテクノロジー「メタネーション」 脱炭素化のキーテクノロジー「メタネーション」

21.07.09

脱炭素化のキーテクノロジー
「メタネーション」

大阪ガス(株) エネルギー技術研究所 エグゼクティブリサーチャー

大西 久男

Daigasグループは、2050年のカーボンニュートラル実現に挑戦する「カーボンニュートラルビジョン」を2021年1月に発表しました。「カーボンニュートラル」とは二酸化炭素(CO2)の排出量を実質ゼロにすることです。
カーボンニュートラルビジョンの実現には、メタネーション技術が重要な役割を果たすとされています。その技術に取り組んでいるのが、今回の「挑戦者」大阪ガスエネルギー技術研究所エグゼクティブリサーチャーの大西久男さんです。

CHAPTER

01

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メタネーションは
Daigasグループの
カーボンニュートラル
実現の鍵

メタネーションはDaigasグループのカーボンニュートラル実現の鍵 メタネーションはDaigasグループのカーボンニュートラル実現の鍵

大西さんは、エネルギーに興味を持つきっかけになった思い出があると語ります。
「小学生の頃、自宅で釘を打って工作をしていた時のことです。父が『ちょっと貸して』と言い、金槌で釘を力強く叩き始めました。『ほら、触って』と言われて触ってみると、釘がものすごく熱くなっていてびっくりしていると、『これは釘を叩いたエネルギーが熱に変わったんだ』と教えられ、エネルギーという不思議なものの面白さの虜になりました。また、植物が光合成によって太陽光のエネルギーとCO2や水から、人間が生きていくのに欠かせない酸素や栄養分を生み出していること、さらにはさまざまな化石燃料の形成につながることを知り、この仕組みをより高効率・人工的に進められるような技術を将来実現したいと思うようになりました」

大西 久男

大西さんが現在、取り組んでいるメタネーションとは、水素(H2)と二酸化炭素(CO2)を使って、都市ガスの原料となるメタン(CH4)を作り出す技術です。これこそがカーボンニュートラルを達成するためのカギになると大西さんは考えています。
「Daigasグループではメタンの原料に天然ガスを使用していますが、メタネーションの場合は、工場などから排出されるCO2を再利用します。メタネーションで作り出した都市ガスを燃やして使う時にはまたCO2が出ますが、このCO2排出量とガスを作り出す時のCO2回収量がバランスして相殺され、CO2の排出は実質ゼロになるのです」

大西さんによれば、供給するガスの原料は変わっても、ガスを貯めておくガスホルダーやガス導管といったガス供給設備、家庭などにあるガス機器はそのまま活用できるため、効率的にカーボンニュートラルを実現できるのです。

メタネーションという技術は以前より各社で開発されてきましたが、水(H2O)を再生可能エネルギーでつくった電力などで電気分解することによって、いったん水素(H2)を作り出し、その水素とCO2を反応させることでメタン(CH4)を作り出すという、2段階の合成方式です。

従来型のメタネーション

(参考)Daigasグループでは、生ごみから発生させたバイオガスに含まれているCO2成分をメタンに変換するメタネーションの実証を、2025年の大阪・関西万博で活用するよう万博協会*へ提案を行っています。

※公益社団法人2025年日本国際博覧会協会

生ごみによるバイオガスメタネーション実証

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効率化を実現するDaigasグループの革新的技術「SOECメタネーション」 効率化を実現するDaigasグループの革新的技術「SOECメタネーション」

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効率化を実現する
Daigasグループの
革新的技術
「SOECメタネーション」

「従来型のメタネーションも、脱炭素化には十分有効です。しかし、Daigasグループには『革新的』なメタネーション技術があるのです。それが『SOECメタネーション』です」

大西 久男

大西さんが語るSOECとは「Solid oxide electrolysis cell」の略で、固体酸化物型電解セルと訳すことができます。SOECメタネーションの装置は、SOEC電解装置とメタン合成装置の2つから構成されています。まず、SOEC電解装置にCO2と、水を加熱してできた水蒸気(H2O)を入れ、そこに再エネ電力を加えると、電気分解されて酸素(O2)が抜き取られ、結果的に一酸化炭素(CO)と水素(H2)が生成されます。それらをメタン合成装置に送り込むと、反応を促す触媒上で結びつき、さらにメタン(CH4)と水(H2O)に分解されるという仕組みです。メタンは都市ガスの原料として使われ、水は再び循環されます。加えて、メタン合成装置内で反応する時に熱が発生するのですが、この反応熱はボイラーで水を加熱するのに有効活用することができるのです。

大西 久男

従来型のメタネーションは、反応の性質上、水素やメタンを作り出す時に発生した熱は捨てるしかないため、結果的に再エネ電力のメタンへの変換効率は55~60%という低いレベルにとどまっていました。一方、SOECメタネーションでは、SOEC電解装置自体が高効率で電気分解する仕組みであること、メタン合成装置で発生した熱を有効利用することで、変換効率が85~90%になると期待されています。
大西さんはこのメタネーションに、幼い頃に抱いた夢を重ねています。「SOECメタネーション技術は、CO2と水に太陽光などの再生可能エネルギーを加えることにより、酸素と都市ガスを高効率に生み出す、いわば人工的な光合成のような役割を果たす技術とも言えます。この技術の実用化を果たすことで、子どもの頃に見た夢を実現したいと願っています」

私にとっての挑戦とは 革新的メタネーション技術を実用化し、カーボンニュートラルなガスをお客さまにお届けすること

私にとっての挑戦とは

革新的メタネーション技術を実用化し、カーボンニュートラルなガスをお客さまにお届けすること
大西 久男

「大阪ガスは、過去に、石炭を原料としたガス製造から、低炭素でクリーンなLNGを輸入・供給する業態への転換を果たしましたが、これは当社にとって『第二の創業』であったと言われています。ガス事業は今、脱炭素化という大きなパラダイム転換に直面しています。私は、革新的メタネーション技術を実用化することにより、カーボンニュートラルなガスを自ら製造し、お客さまにお届けする事業業態への大転換を計り、いわば当社にとっての『第三の創業』を目指して、技術開発に挑戦していきたいと考えています」

大阪ガス(株) エネルギー技術研究所 エグゼクティブリサーチャー大西 久男

入社後、総合研究所(当時)に配属。入社後の研究により、東京大学大学院理学系研究科より博士号を授与。研究所ではガスセンサー、触媒、燃料電池などのさまざまな機能性材料・素子の研究に従事し、その後、商品開発部門でガス警報器・ガスメーター・屋内ガス供給システムなどの技術開発に携わる。現在はエネルギー技術研究所にてセンサー技術やエネルギー変換技術などの研究開発およびマネージメントや新規テーマ創出に従事。

Daigasグループの「2050年脱炭素社会実現」に向けた挑戦
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