メタネーション
世界最高レベルのエネルギー変換効率を目指す
SOECメタネーション
概要
当社では、家庭用燃料電池エネファームtype-Sの心臓部である固体酸化物型燃料電池(SOFC※1)の技術を用いて、再生可能エネルギーから高効率にカーボンニュートラル(※2)な都市ガスを製造する技術開発にチャレンジしています。
※1 SOFC:Solid Oxide Fuel Cell
※2 カーボンニュートラル:植物由来や二酸化炭素のリサイクルなど、大気中の二酸化炭素の増減には影響を与えない性質のこと。
背景
固体酸化物型燃料電池(SOFC)は都市ガスを原料として発電する装置ですが、固体酸化物形電解セル(SOEC※3)を用いたメタネーション技術は逆に電力を投入することで、水蒸気と二酸化炭素から都市ガスの主成分であるメタンなどをつくることができます。
当社は、再生可能エネルギーの電力等を利用して高効率にカーボンニュートラルな都市ガス製造を実現するため、このSOECの技術とメタン化(※4)の技術を組み合わせたSOECメタネーション技術の要素技術の研究を行っています。
※3 SOEC:Solid Oxide Electrolysis Cell
※4 メタン化:水素と一酸化炭素などの原料から都市ガスの主成分であるメタンを合成する反応。
固体酸化物型燃料電池(SOFC)技術の活用
本技術の特徴
従来のメタネーションは、水素とCO2から都市ガスの主成分であるメタンを合成する技術です。合成メタンは、都市ガスの既存インフラや消費機器をそのまま利用でき、都市ガスの円滑なカーボンニュートラル化と化石燃料の代替によるCO2削減に貢献できます。
ただし、反応の性質上、水素やメタンを作り出す時に熱が発生するため、熱の有効利用ができない場合は、再エネ電力のメタンへの変換効率が55~60%という低いレベルにとどまっていました。
SOECメタネーション技術は、まず再生可能エネルギー等により水やCO2をSOEC電解装置によって電気分解し、水素や一酸化炭素を生成します。次にそれらから触媒反応によってメタンを合成します。
この技術の特徴として、原料として水素を調達する必要がありません。また、高温(約700~800℃)で電気分解することにより、必要な再エネ電力等を削減できるとともに、メタン合成装置で発生した熱を有効利用することで、変換効率が85~90%という世界最高レベルのエネルギー変換効率を実現できる可能性があり、再エネ電力等が大きな割合を占める合成メタン製造コストの大幅な低減が期待できます。
またメタン化反応の部分については、当社が過去に石炭や石油から都市ガスを製造していた時代から培ってきた触媒技術を活かすことができます。
従来のメタネーション技術とSOECメタネーション技術の違い
当社での取り組みの状況
当社は2021年1月、SOECメタネーション技術の実現のキーとなる金属支持型(※5)SOECの実用サイズセルの試作に国内で初めて成功しました。
2022年4月には、国立研究開発法人産業技術総合研究所と、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構が公募した「グリーンイノベーション基金事業/CO2等を用いた燃料製造技術開発プロジェクト」の研究開発項目の一つである「合成メタン製造に係る革新的技術開発」に対して「SOECメタネーション技術革新事業」を提案し、採択(※6)されました。
本事業の事業期間は2022年度から2030年度の9年間を予定しており、SOECメタネーションに関する技術を結集し、世界最高レベルのエネルギー変換効率を実現する合成メタン製造技術の確立を目指しています。
また、小規模試験として、2022年度から24年度にラボスケール試験、25年度から27年度にベンチスケール試験、28年度から30年度にパイロットスケール試験を行う予定です。
※5 低コスト化とスケールアップに適した技術で、従来のSOECに使われていた特殊なセラミックスの使用量を約1割程度にしたもの。
(2021年1月25日発表のプレスリリースはこちら)
※6 SOECメタネーションに関するグリーンイノベーション基金事業の採択に関するプレスリリースはこちら
SOECメタネーションパイロットプラントのイメージ図
「SOECメタネーション技術革新事業」の事業スケジュール
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